住宅ローンは建築設計事務所も対応可能?失敗しない資金計画の立て方をご紹介!2024.11.27
- 建築設計事務所に住宅ローンの利用についても相談できる?
- 建築設計事務所を通して住宅ローンを利用する際の流れは?
- 住宅ローンを利用する際に建築設計事務所への支払いについて注意することはある?
住宅の新築やリフォームの計画にあたっては、設計と資金計画は二つの車輪であり、どちらか一方の検討が不十分ですとスムーズに進行しません。
しかし、住宅の設計を建築設計事務所に依頼する場合は、資金計画や住宅ローンについては建築設計事務所に相談できないと思い込んでいる方も多いのではないでしょうか。
資金計画についても気兼ねなく相談でき、住宅ローンの知識も豊富な建築設計事務所も存在します。そのような建築設計事務所と出会い、共に家づくりを検討することは施主様にとって大きなメリットがあります。
本記事では建築設計事務所と共に家づくりに取り組む際の、住宅ローン利用の流れや注意点について解説します。
この記事でわかること
- 資金計画や住宅ローンの相談も含めて建築設計事務所に依頼するメリット
- 建築設計事務所経由で住宅ローンを依頼する際の流れと事前に検討すべきこと
- 建築設計事務所費用を住宅ローンの対象にする際の注意点
建築設計事務所に住宅ローンの相談は可能?
実際に建築設計事務所への依頼費用を住宅ローン対象にできるのかとそもそもどんな費用が発生するのかを解説します。
建築設計事務所費用も住宅ローンの対象とすることが可能
設計事務所に依頼する際に発生する費用
建築設計事務所に依頼する際には費用が発生しますが、その内訳としては設計料、確認申請費、工事監理費などになります。
これらの費用を工事完了後に一括で払うのではなく、設計監理契約の締結を起点として、何度かに分けて支払うのが一般的です。
【建築設計事務所に依頼する際に必要な費用】
・基本設計料
・実施設計料
・確認申請費
・工事監理費
・諸経費
建築設計事務所費用も住宅ローンの対象にできる
住宅ローンは建築工事が対象であり、設計事務所への依頼費用には適用できないと思われている方もいらっしゃいますが、それは誤解です。
銀行などへの相談の仕方とタイミングさえ間違わなければ、建築設計事務所費用も住宅ローンの対象とすることが可能ですのでご安心ください。
建築設計事務所に住宅ローンを依頼する際の流れ
実際に建築設計事務所を通じて住宅ローンを利用する際の流れについて解説します。
ここで挙げる例はあくまで一例となりますが、ご自身の家づくりの計画を立てる際の参考にしてください。
大きな流れとしては以下になります。
①建築予算の作成
②住宅ローンの金利種類を選択
③返済方法の選択
④住宅ローン審査
⑤融資の実行
それぞれ解説します。
建築予算の作成
建築設計事務所の見積取得
まずはパートナーとなる建築設計事務所から、設計および工事監理の見積を取得します。
建築設計事務所との契約に掛かる費用は「基本費用(固定費)+工事金額×定められた割合(変動費)」となることが多いため、建物の仕様と規模から想定される工事金額の目安から契約金額が算出されます。
建築設計事務所と設計監理業務委託契約
見積を取得して合意したら、建築設計事務所と設計監理業務委託契約を結びます。契約では、業務委託の期間や内容、報酬の支払い方法などについて細かく定めます。
土地の選定
建築予定の土地が決まっていない場合は、まずは土地を選定する必要があります。土地の購入費用も住宅ローンの対象とする場合は、後述する「つなぎ融資」を申し込む必要がありますので、早期に金融機関にご相談ください。
もちろん、土地探しから建築設計事務所に関わってもらうことも可能です。その場合は、理想とするプランを実現するための土地探しができるメリットもあります。
建築設計
建築設計事務所が行う設計には、「基本設計」と「実施設計」の二つに分かれます。
基本設計は施主とイメージを共有し、建物の間取りや仕様、規模を決めていく作業になります。
それに対して実施設計は、基本設計で出来上がった建物の概要を、建設会社が施工できるレベルの詳細な設計図に落とし込む作業となります。
概算金額の作成
基本設計から実施設計に移る際に、建物の仕様と規模から想定される概算金額を算出します。概算金額は、過去の建築実績坪単価を参考にしたり、建設会社へ相場をヒアリングするなどして算出します。
想定する予算に収まらない場合は、基本設計の規模や仕様を見直して着地点を見出すようにします。
工事見積の取得
実施設計が完了したら、完成した設計図を基に建設会社に見積を依頼します。
建築設計事務所が過去の実績から推薦する建設会社に見積を依頼するのが一般的ですが、工事の受注を希望する複数の建設会社による入札(相見積)を取り入れ、競争原理を導入するのも有効でしょう。
住宅ローンの金利種類を選択
工事見積を取得したら、住宅ローンの具体的な検討に入ります。金利の種類や返済方法には複数の選択肢がありますので、比較検討の上で決定して行きます。
変動金利
変動金利型住宅ローンは、市場の金利の動きに合わせて、毎月の返済額が変わるローンです。金利が上がれば返済額も増え、下がれば減ります。
金利上昇のリスクがあるため、一般的に固定金利型より金利が低い設定になっています。
固定金利(固定期間選択型)
固定金利型住宅ローンは、契約期間中に金利が変わらないローンです。金利が変動しても返済額は一定のため、将来の返済額が予測しやすいのが特徴です。金利上昇のリスクが少ない一方で、変動金利型に比べて金利はやや高めです。
固定期間は2~10年程度から選ぶことができ、期間終了後は再契約や変動金利への切り替えが可能です。
固定金利(全期間型)
長期固定金利型の住宅ローンとして、国が支援する35年固定金利住宅ローン「フラット35」があります。
フラット35は長期間返済額が安定し、将来の返済計画が立てやすいのが特徴です。ただし、借り入れする時期によっては変動金利住宅ローンよりも総支払額が多くなってしまうというデメリットも存在します。
返済方法の選択
元利均等返済
元利均等返済は、毎月の返済額が常に一定となる返済方法です。返済額が変わらないため、家計の計画が立てやすいことがメリットです。
返済開始当初は住宅ローンの金利分を多く支払うことになるため、元金の減り方は緩やかであるのと、同じ借入期間の場合は元金均等返済よりも総返済額が多くなってしまうことがデメリットです。
元金均等返済
元金均等返済は、毎月の元金返済額が一定となる返済方法です。元金が着実に減っていくため、返済期間が進むにつれて利息の負担が減り、毎月の支払額が減少します。長期的に見ると、元利均等返済よりも総返済額を抑えることができます。
ただし、返済当初は元金の返済額が大きいため、毎月の支払額が比較的高くなり、家計への負担が大きくなるというデメリットがあります。
ボーナス払い併用返済
ボーナス払い併用返済は、ボーナス月に通常の返済額に加えて一定額を返済することで、ローンの残高を早く減らすことができる返済方法です。
しかし、ボーナスが減額されたり、支給されなかったりした場合には返済計画が狂ってしまうというデメリットもあります。
H3.住宅ローン審査
住宅ローンの審査には「事前審査」と「本審査」の二種類があります。事前審査に通過すれば、工事に着手しても差し支えありません。本審査を工事の進行中に進め、引き渡しと同時に融資が実行できるようにするのが一般的な流れです。
事前審査
住宅ローンの事前審査は、住宅を購入する前に自分の借入可能額や金利などを把握できる手続きです。金融機関に収入や勤務先などの情報を提供し、事前審査を依頼します。審査期間は金融機関によって異なりますが、通常は1週間程度です。
事前審査はほとんどの金融機関が無料で実施しており、通過した場合は必ず本審査に進まなければならないという決まりもありません。
複数の金融機関で事前審査を受けることで、金利や返済条件などを比較検討し、自分に合った住宅ローンを選ぶことができます。
本審査
事前審査を通過すると、いよいよ本審査です。本審査では、収入や職業、そして購入予定の住宅の価値などがより詳細に審査されます。これらの情報に基づいて、金融機関は申込者の返済能力と土地や住宅の担保価値を評価し、融資可能額を決定します。
また、多くの住宅ローンでは団体信用生命保険の加入が義務付けられるため、審査にあたっては健康診断の結果なども求められる場合があります。
H3.融資の実行
工事の完成が近づいたら、いよいよ融資の実行準備に入ります。
金銭消費貸借契約
住宅ローンを借りるときには、「金銭消費貸借契約」を結ぶ必要があります。
契約を結ぶ前に、契約書の内容をしっかりと確認し、特に金利や返済方法については、自分にとって最も有利な条件かどうかを慎重に検討することが大切です。
抵当権設定契約
金銭消費貸借契約と同時に「抵当権設定契約」を締結します。
抵当権とは、万が一ローンを滞納した場合に金融機関が家を競売にかけて、売却代金でローンを回収できる権利のことです。
融資実行
注文住宅の場合、一般的に建物の引き渡し日と融資実行日が一致するように調整されます。
融資実行日には、司法書士立会いのもとで建設会社などへの支払いと、住宅に抵当権が設定される手続きが同時に行われます。
建築設計事務所に住宅ローンを依頼する際の注意点
建築設計事務所に依頼する際には、自己資金とつなぎ融資の利用も含めた資金計画を入念に打ち合わせするべきです。その際のポイントを解説します。
H3.依頼の際には自己資金で着手金が必要になるケースも
建築設計事務所に依頼する際には、一般的に着手金が必要です。設計監理業務請負契約の締結時に、総額の10%程度を納めるケースが多いようです。
工事が始まって建物が完成するまでの間には、設計事務所や建設会社に何回かに分けて中間を支払う必要があります。
また、土地の購入からの場合は土地代金も用意しなければなりません。
【建築設計事務所への費用支払い例】
・設計監理業務委託契約締結時(1回目)
・基本設計完了時(2回目)
・実施設計完了時(3回目)
・建築工事着工時(4回目)
・建築工事完了時(5回目)
【建設会社への費用支払い例】
・工事請負契約締結時(1回目)
・工事着工時(2回目)
・建物上棟時(3回目)
・建築工事完了時(4回目)
融資が実行されるまでに、これらの中間費用を手持ちの資金で用意できるかを十分に検討しておく必要があります。
H3.つなぎ融資が必要なタイミングに注意
建物が完成し、引き渡しを受けるまでは抵当権が設定できないため、中間金の支払いには住宅ローンが利用できません。そこで、多くのケースでは「つなぎ融資」を利用し、住宅ローン実行までの間の立て替え払いを金融機関に依頼することになります。
ただし、住宅ローンの事前審査に通過するまではつなぎ融資の申し込みが難しいケースが多いため、早めに金融機関に住宅ローン事前審査の申し込みをすることをお勧めします。
まとめ
家づくりにあたって、理想の間取りや外観などを建築士と共に考え、現実の設計に具体化していく作業はとても楽しいものです。しかし、同時に予算と資金計画についても考えなければならないのが悩ましいところです。
世田谷区の建築設計事務所Penthouse Studioではこれまでの400件以上の豊富な設計事例と自身の経験も踏まえて、お客様の資金計画のご相談に丁寧にお答えいたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。