建築設計事務所と土地探しをするメリットとは?購入前の確認ポイントも解説2024.09.17
Contents
- 理想の家を建てるために建築設計事務所に土地探しからお願いできる?
- 建築設計事務所に土地探しまで依頼した場合のメリットを知りたい
- 建築設計事務所と探した土地を購入するときは何に注意すればいい?
家を新築する際、最初の課題となるのが土地探しです。
土地は、そこに建てられる建物の構造や特徴に大きな影響を与えるため「どのように暮らしたいか」というイメージが、家作りに深く関わっています。
設計事務所の建築家と一緒にイメージを共有し、それを実現できる土地を見つけられれば、理想的な家作りに近づけます。
まだ土地探しの段階で迷っているのであれば、設計事務所に依頼して、家と一体に考えた土地探しを始めてみてはいかがでしょうか。
この記事でわかること
- 土地探しをする際の建築設計事務所の役割と家を建築するまでの流れ
- 建築設計事務所の建築家と一緒に土地探しをするメリット
- 建築設計事務所と探した土地を購入する前に確認すべきポイント
土地探しにおける建築設計事務所の役割
土地探しの際、まずは不動産業者に相談するイメージの方が多いでしょう。
しかし、建築設計事務所に土地探しから依頼すれば、リビングに日差しが入らないかもしれない、見晴らしの良いバルコニーが設置できそうなど、具体的にアドバイスしてくれます。
土地を探す際の建築設計事務所と建築家の役割を見ていきましょう。
イメージに合わせた土地探し
土地探しにはさまざまな目的や理想があります。
周辺の交通量や利便性、日照や風通し、自然環境や価格など、土地探しの条件はさまざまですが、すべてを満たす理想的な土地に出会うのは難しいです。
また、立地や眺望、利便性が優れているからと土地を購入してしまうと、建築費に無理が生じ、理想の家づくりが難しくなる可能性もあります。
理想の実現には、これからの生活やライフプラン、住む場所や家のイメージの具体化が必要です。
将来の夢やキャリア形成、子育てや趣味、介護や相続など今後予想されるイベント、自分の価値観や理想を建築設計事務所の建築家に伝えましょう。
将来のイベントや理想を共有し、必要な空間の広さや要望を実現できるような土地を探します。
土地の周辺調査
土地探しは、道路や隣地との接し方、日照や通風、水はけの状態や給排水設備の状況、さらに土地の履歴や地盤調査などを確認する必要があります。
しかし、素人がすべてを把握するのは困難です。
建築設計事務所に依頼すれば、希望するプランが実現可能かどうかを、周辺調査の結果も踏まえて判断する役割も担います。
また、土地だけでなく、周辺環境や周辺から見た土地、土地から見た周辺など、視点を変えて確認したうえで、アドバイスしてもらえるでしょう。
家の設計を見据えた土地の選定
暮らしやすい家を作るためには、土地の状況の正しい読み取りも重要です。
狭小地や傾斜地など複雑な条件の土地の場合でも、設計力を活かした提案が期待できます。
また、あまり良い印象のない土地でも、建築家のアイデアにより、これまで考えていなかったプランを思いつくケースもあります。
パッと見の印象や、親族の意見だけで土地を決めるのではなく、建築家のコメントも参考にするとよいでしょう。
土地探し後から家を引き渡すまでの流れと建築設計事務所役割
土地が決まったあとは、具体的な家づくりに進んでいきます。
従来の流れでは、この段階からが建築設計事務所の業務でした。
しかし、土地探しから依頼している場合、家づくりに初めから建築家が関わり、建て主の要望を理解しているため、スムーズに設計へと進められるでしょう。
プランの詳細が固まってきたら、外装や内装、設備の性能など、こまかな仕様を決定していきます。
実施設計図が完成した段階で工事会社に見積りを依頼し、建築確認申請のために関係官庁や、確認申請機関と協議をおこないます。
建築確認申請が承認され、予算に合意が得られたら施工会社と契約し、工事の開始です。
着工後は、基礎工事から木工事、設備工事から内装工事へと、順次進められます。
この期間中、建築家は現場監理の役割を担い、定期的に現場を巡回して施工会社の作業状況や品質管理をチェックします。
すべての工事が終了したら、建て主と工事監理者で、引き渡し前の竣工検査の実施です。
竣工検査で問題がなければ、引き渡しがおこなわれ、建て主が鍵や保証書などを受け取ります。
最後に、建築家から暮らしのアドバイスや、アフターサービスの内容について説明を受け、引き渡しが完了します。
建築設計事務所の建築家と一緒に土地探しをする4つのメリット
建築設計事務所は、設計規格や仕様に制限されず、自由な発想による設計が可能です。
どのような家を建てたいかを事前に建築家に伝え、イメージを共有したうえで土地探しをすれば、家づくりがスムーズに進められます。
建築家と一緒に土地探しをした場合の、4つのメリットを見ていきましょう。
悪条件の土地でも設計でカバーできる
変わった形状や傾斜のある地形、擁壁工事などクセのある土地でも、建築家なら問題に対する解決策を見つけてくれる可能性が高いです。
一般的な視点では悪条件と見なされる土地でも、建築家の視点から見ると好条件だったケースもあります。
家をゼロから設計してくれる建築設計事務所は、望みを聞いたうえで、創意工夫によりその土地に適した、さまざまプランを考えてくれます。
狭小地や変形地であっても、状況に応じた柔軟な対応によって問題点を解決し、希望に合った設計をおこなってくれるでしょう。
建築条件を判断できる
地域によっては、建物の用途に応じて建設が禁止されている場所や、規模や高さに制限があります。
用途地域、建ぺい率や容積率などの規制に加え、前面道路の幅員や上下水道の整備状況などのインフラ整備も、確認が必要です。
土地や建物にはさまざまな規制や法律がありますが、専門家である建築設計事務所ならば、規制に関する問題は安心して任せられるでしょう。
建てる家をイメージしやすい
建築家と一緒に土地を探せば、その土地に建てる家をイメージしながら検討できます。
ここに玄関があり、ここにリビング、バルコニーをこの方向に向けると景色が美しい、といった具体的なイメージの提示も可能です。
また、どの場所の日当たりが良いのか、その土地にどれくらいの広さの家が建てられるか、などの事前情報を得ながら土地探しができます。
家がどのように建つのか不安なまま土地を購入するのではなく、実現可能な広さや間取りをイメージして土地を購入できるでしょう。
適正価格を判断してくれる
建築設計事務所は、どのような家を建てるかのイメージがあれば、それに必要な費用もある程度把握しています。
要望に基づいて家の設計をおこない、施工費用を算出します。
品質を維持しつつコストを抑えるために材料や工程を研究しており、材料費や工事費を削減するための提案もしてくれるでしょう。
家や設備にかかる費用を把握している建築設計事務所が、検討段階から関わっていれば、土地にどれくらいの金額を払うべきかの判断も可能です。
また、全体的な資金計画を踏まえたうえでの、アドバイスも受けられます。
狭小地や傾斜のある土地などの複雑な条件を抱えた土地を購入する場合、相場が安い傾向にあるため、結果的にコストを抑えられるケースもあるでしょう。
建築設計事務所と探した土地の購入前に確認すべき3つのポイント
土地ごとに制限や建築条件が決まっているため、理想の家がその土地に建てられるかどうか、土地の売買契約をする前に確認が必要です。
土地を購入する前に確認しておかなければならない、おもなポイントを見ていきましょう。
用途地域や建ぺい率、容積率などの法的な条件を確認しておく
用途地域によって、周辺にどのような建物が建てられるかもわかります。
土地の面積や権利条件、地目を確認するには、法務局で登記事項証明書を発行してもらう必要があり、土地の地目が宅地であれば問題ありません。
宅地の場合でも、低層の建物しか建てられない地域もあれば、オフィスビルなどが建設可能な地域もあります。
購入を検討している土地が、どの用途地域に該当するかを確認し、希望している家が建築できるか、周囲に高い建物が建つリスクなどとあわせてチェックしておきましょう。
また、地域によっては、建物の用途や規模、高さなどに制限があり、建設が許可されない土地もあります。
確認すべき項目として、建ぺい率や容積率などがあります。
建ぺい率とは、土地の面積に対する建物の建築面積の割合です。
容積率とは、土地の面積に対する延べ床面積の割合を指します。
自治体のホームページなどでも確認可能ですが、市区町村役所の窓口でしたら確実に把握できます。
前面道路の幅員や上下水道の整備状況などのインフラも、合わせて確認しておきましょう。
周辺地域を確認しておく
住宅向けの土地かどうか、周辺地域の状況も含めたさまざまな観点から総合的に調査しましょう。
理想に近い土地だとしても、土砂崩れや水害のリスクがあるかもしれません。
県や市区町村では、液状化や土砂災害のリスクがある地域を公表しています。
自治体のホームページでハザードマップを確認し、国土地理院のホームページで地形分類図や過去の航空写真もチェックしておくと安心です。
埋め立てによって造られた土地や、以前に河川が流れていた土地など、土地の経歴や変遷を把握しておけば、災害リスクを低減できます。
また、以前に工場があった土地などでは、土壌が汚染されている可能性があるため、汚染状況を事前に調べておくと安心です。
さらに、地域に電力を供給する高圧線が上空を横切っている場合、その下は建築制限がかかっている可能性が高いです。
敷地の真上を横切っていなくても規制されているケースがあるため、周辺に高圧線がある場合は、所轄の電力会社で確認しておきましょう。
イメージを明確にしておく
その土地にどのような家を建てられるか、実現したい生活スタイルなど、土地探しの段階からイメージしておきましょう。
どのような暮らしを希望しているかを建築家に伝えて、見つけた土地が適しているかどうかを判断してもらいましょう。
利便性や交通、日照や風通し、自然環境や価格など、すべてが満足する土地に出会うのは難しいです。
しかし、立地条件の多少の制約などは設計の工夫次第で、住みやすい家を実現できたり、理想の家に近づけたりできる可能性があります。
そこでの生活がイメージでき、予算の見込みも立った段階で、購入の意思を示すと良いでしょう。
まとめ
建築設計事務所に土地探しから依頼すれば、リビングに日差しが入らないかもしれない、などの具体的なアドバイスがもらえます。
土地探しから依頼している場合、家づくりに初めから建築家が関わり、建て主の要望を理解しているため、スムーズに設計へと進められるでしょう。
すべてが満足する土地に出会うのは難しいですが、建築設計事務所へ依頼すれば、設計の工夫次第で、住みやすい家を実現できる可能性が高められます。