
注文住宅のコンセント計画で失敗しない!後悔しないための考え方2025.08.13
目次
- コンセントの配置計画のセオリーは?
- コンセントの配置で失敗するのはどういうケース?
- 部屋ごとに最適なコンセント配置は?
注文住宅の間取りやデザインを検討する中で、意外と見落としがちなのがコンセントの配置です。コンセントの配置に失敗すると、住み始めてからの快適性を大きく損なってしまう可能性があります。
この記事では、完全自由設計の注文住宅をご検討中の皆さまへ、後悔しないためのコンセント計画の基本的な考え方から、場所別の具体的な配置アイデア、知っておきたいコンセントの種類まで詳しく解説していきます。
家事効率を高め、快適な暮らしを実現するためのヒントが満載ですので、理想の住まいづくりの参考にしてください。
この記事でわかること
- コンセントの種類と配置計画の基本
- 部屋ごとに最適なコンセント配置
- 生活を豊かにするコンセント配置のアイデア
注文住宅におけるコンセント計画の基本
コンセントは、単に数を増やせば良いというものではありません。どこで、何のために電源が必要なのかをイメージして計画することが重要です。
まずは、コンセント計画の基本となる4つの考え方を解説します。
生活動線と家事効率を最優先に考える
快適な暮らしには、日々の生活動線に合わせたコンセント配置が欠かせません。朝起きてから夜寝るまで、ご家族一人ひとりが家の中でどのように動き、どの場所でどんな家電を使うのかを具体的にシミュレーションしてみましょう。
掃除機のかけ方、スマホ等の充電場所、キッチン家電や洗面用具の使用場所などを具体的に想定します。「ここにコンセントがあれば…」と想像することで、延長コードに頼らずスムーズに家電を使え、家事の効率化と生活ストレスの軽減につながります。
家具配置・家電の置き場所を具体的に想定する
コンセント計画では、先に家具や家電の配置を具体的に決めることが大切です。そうすることで、「家具でコンセントが隠れた」「使いたい場所から遠い」といった失敗を防げます。
まずは、ソファ、ベッド、デスク、テレビ台などの大きな家具や、サイドテーブルなどの置き場所を設計図に落とし込んで明確にしましょう。特にソファ周りやベッドサイドは、充電や照明用に、家具に隠れず使いやすい位置にコンセントが必要です。
次に、冷蔵庫や洗濯機などの大型家電はもちろん、コーヒーメーカー、ロボット掃除機ドック、空気清浄機、季節家電(扇風機や暖房機など)のように定位置で使う家電の場所も考えます。予定している機種に必要なコンセントを用意しましょう。
また、将来揃えたい家具や家電の位置も考慮しておくと、後からコンセントを追加する手間や費用を省けます。
スマートプラグの活用
最近は「スマートプラグ(スマートコンセント)」という便利な製品があります。手持ちのコンセントに挿すだけで、繋いだ家電の電源をスマホアプリで操作したり、タイマーをかけたりできます。
便利な使い方
こうしたスマート機器を使うなら、Wi-Fi環境を考慮したコンセント計画が重要です。Wi-Fiルーターの設置場所には必ずコンセントを設けましょう。また、スマートプラグやスマート家電を使いたい場所にもコンセントを用意し、ルーターの電波が届くかどうかも確認しておくと安心です。
将来的なライフスタイルの変化を見据える
コンセントは、後から増やすのが大変です。壁工事が必要で費用もかさむため、将来使う可能性のある場所には、あらかじめ予備のコンセントを設置しておきましょう。数年後、十数年後には、家族構成やライフスタイルが変わっているかもしれません。
将来の変化の例
今の暮らしだけでなく、こうした将来の変化も考えてコンセントを計画することが、後悔しないためのコツです。
場所別!後悔しないコンセント配置のアイデアと注意点
具体的なコンセント配置のセオリーと注意点、そしてよくある後悔ポイントを部屋ごとに見ていきましょう。
リビング・ダイニング
テレビ周り
テレビ周りにはレコーダー、ゲーム機、スピーカー、ONU(光回線終端装置)やWi-Fiルーターなど多くの機器が集まるため、最低でも4口のコンセントを確保し、配線がごちゃごちゃしないようテレビボードの裏や脇などにまとめて設置するのがおすすめです。将来的な機器の追加も考慮して、余裕を持たせておくと良いでしょう。
ソファ周り
ソファの両サイドにコンセントがあると、スマートフォンやタブレットの充電やノートパソコンの使用に便利です。床に近い位置だけでなく、サイドテーブルの高さに合わせて少し高めの位置にも設置すると良いでしょう。USBポート付きのコンセントを選べば、アダプターなしで充電でき、見た目もすっきりします。
ダイニングテーブル周り
ホットプレートやIH調理器を使った卓上調理、ノートパソコンでの作業やお子様の宿題を見る際のデスクライトなどに使えます。テーブル近くの壁に設置するのが一般的ですが、テーブルを部屋の中央に置く場合は、床に埋め込むフロアコンセントも検討しましょう。
飾り棚・ニッチ
季節のディスプレイや、お気に入りの雑貨を照らす間接照明用に、棚の中や目立たない位置にコンセントを設けておくと、空間演出の幅が広がります。
【後悔ポイント】
キッチン
キッチン作業台・対面カウンター
ミキサー、フードプロセッサー、ハンドブレンダーなど調理中に頻繁に使う小型家電や電気ケトル、コーヒーメーカーのためのコンセントを用意しましょう。同時に複数の家電を使うことも想定し、2〜3箇所に分散して設置すると使い勝手が良くなります。水掛かりでもあるため、漏電を予防するシャッター付きコンセントにしておくと安心です。
食器棚・背面カウンター
炊飯器や電子レンジ、オーブントースター、電気ポットなど、定位置に置く家電用に、収納棚の中や背面の壁にコンセントを設置します。特に電子レンジやオーブンなど消費電力の大きい家電は、他の機器と同じ回路で使用するとブレーカーが落ちる原因になるため、専用回路のコンセントを設けることを推奨します。
また、炊飯器は蒸気が出るためコンセントが蒸気にかからない位置に設置する配慮も必要です。
シンク下
生ゴミ処理用のディスポーザーや、ビルトインタイプの浄水器を設置する場合にコンセントが必要です。
【後悔ポイント】
寝室
ベッドサイド
ベッドサイドではスマートフォンの充電、目覚まし時計、読書灯などのコンセントが必要です。その他にも電気毛布や加湿器など多くの電気製品を使うため、両サイドにそれぞれ2口以上のコンセントを設けておくと便利です。また、コンセントの高さは予定するベッドやサイドテーブルに合わせて最適化しましょう。
ドレッサー・化粧台
ドライヤーやヘアアイロン、卓上ミラーの照明などを使うためのコンセントが必要です。特にドライヤーは消費電力が大きいものもあるため、容量に余裕があると安心です。
書斎コーナー
寝室の一角にデスクを置いて書斎スペースとする場合、ノートパソコンやモニター、デスクライト、充電器などのためのコンセントが必要です。
【後悔ポイント】
子供部屋
デスク周り
子供部屋のコンセントは、お子様の成長に合わせた将来的な使い方を考慮して計画することが大切です。
学習用のパソコンやタブレット、デスクライト、鉛筆削り、ゲーム機、スマートフォンの充電器など、多くのデバイスを使う可能性があります。デスクの左右や足元などに、最低でも4口程度は設けておくと良いでしょう。
その他
掃除機や空気清浄機、加湿器などの設置も考慮して、部屋の対角線上などにもコンセントを設けておくと、将来的な模様替えにも柔軟に対応できます。小さなお子様がいる場合は安全面に配慮し、コンセントカバーを付けたり、手が届きにくい少し高めの位置に設置したりすることも検討しましょう。
【後悔ポイント】
玄関・廊下・階段・収納
玄関
電動アシスト自転車のバッテリー充電、靴乾燥機、掃除機、防犯カメラなどの実用的な用途の他に、水槽や季節の飾り(クリスマスツリーやイルミネーションなど)などに使えるコンセントを用意しておくと良いでしょう。
廊下・階段
廊下や階段の踊り場には、将来的な介護で移動補助器具を使う可能性も考慮してコンセントを配置しておくと良いでしょう。
また、夜間の安全対策としてコンセント兼用のフットライト(足元灯)とするのもおすすめです。
収納
掃除機は充電式のスティックタイプや自動ロボット式が近年の主流となっています。収納内に掃除機の充電スペースを設ける場合は、想定する機器の高さに合わせたコンセントを忘れずに配置しましょう。
【後悔ポイント】
水回り(洗面所・トイレ)
洗面所
洗面所ではドライヤーやヘアアイロンなど多くの電気製品を使うため、洗面化粧台の鏡近くやカウンター上に2〜4口のコンセントがあると便利です。複数の家電を同時に使うことを考え、少し離れた場所にもう1箇所コンセントがあるとさらに良いでしょう。
水はねを考慮してコンセントカバー付きやアース付きのタイプを選び、消費電力の大きいドライヤーのために回路容量に余裕を持たせておくと安心です。
トイレ
温水洗浄便座にはコンセントが必須で、機種によっては専用回路が推奨されます。それ以外にも、小型ヒーターやアロマディフューザー、スマホ充電、掃除機用として予備のコンセントがあると便利です。
【後悔ポイント】
駐車場・庭・ベランダ
駐車場や庭、ベランダやバルコニーなど屋外にコンセントがあると、DIY工具や高圧洗浄機、庭の手入れ用具など様々な用途に活用できて便利です。屋外コンセントは雨風にさらされるため、防水・防雨タイプを選びましょう。
なお、EV車の充電用には専用の回路設計が必要になりますので、計画の早期段階で設計要望を出す必要があります。
【後悔ポイント】
知っておきたい!コンセントの種類と選び方
コンセントには用途や場所に合わせて様々な種類がありますが、それぞれの特徴を知ることで設計士との打ち合わせもスムーズになります。
主なコンセントの種類と特徴
2口コンセント
最も一般的で、多くの方が「コンセント」と聞いてイメージするタイプです。
口コンセント
差し込み口が3つあるタイプで、パソコン周りやテレビ周りなど、複数の電気機器を同時に使う場所に設置します。ただし、ACアダプターを複数差し込もうとすると互いが干渉しますので、2口コンセントを少し離して2つ設置する方が効率的な場合もあります。
アース付きコンセント
アース線(接地線)を接続するための端子が付いたコンセントです。万が一の漏電時に、電気を地面に逃がして感電事故を防ぐ役割があります。
洗濯機や電子レンジ、冷蔵庫といった水回りや高出力の家電やパソコンなどの精密機器、屋外コンセントなど漏電や感電のリスクがある場所に使用します。
USBポート付きコンセント
コンセントの差し込み口に加え、USBケーブルを直接接続できるポートが付いたタイプです。スマートフォンやタブレット、モバイルバッテリーなどの充電時にACアダプターが不要になり、見た目もスッキリします。ベッドサイドやソファ周り、キッチンカウンター、デスク周りなどにあると便利です。
専用回路コンセント
エアコン、IHクッキングヒーター、食器洗い乾燥機、浴室暖房乾燥機、電子レンジなど消費電力が大きい家電のために分電盤からその機器専用に設けられるコンセント回路です。
他のコンセントとは独立しているため、大きな電力を安定して供給できブレーカーが落ちるのを防ぎます。設置場所や必要な容量は、使用する家電に合わせて設計段階で計画する必要があります。
200Vコンセント
一般的な100Vよりも高い200V電圧に対応したコンセントです。主に大型エアコンやIHクッキングヒーター、電気温水器など大きなパワーが必要な機器に使用されます。設置には専用の配線工事が必要です。
フロアコンセント
床面に設置するタイプのコンセントです。リビングやダイニングの中央など、壁から離れた場所で電気を使いたい場合に便利です。使わないときは床面とフラットになるタイプや、蓋付きのタイプがあります。
マルチメディアコンセント
テレビ用アンテナ端子、電話線モジュラージャック、LANケーブルのポート、電源コンセントなどを一つのプレートにまとめたもので、「情報コンセント」とも呼ばれます。テレビ周りやパソコンデスク周りの配線をスッキリまとめることができます。
防水コンセント
屋外やバルコニー、浴室など、水がかかる可能性のある場所に使用されるコンセントです。水滴の侵入を防ぐカバーが付いており、感電や漏電のリスクを低減します。
おしゃれなコンセントデザインの選択肢
注文住宅の魅力は、細部にまで施主のこだわりを反映できることです。コンセントも、単なる部品としてだけでなく、空間のデザイン要素として捉えることで、インテリアの質をさらに高めることができます。
一般的な白い樹脂製のプレートだけでなく、様々なデザインの選択肢があります。
プレートの素材
ステンレスやアルミなどの金属製、木製、陶器製などを選ぶと、空間に高級感や個性をプラスできます。
プレートの色
黒、グレー、シルバー、ブロンズ、真鍮色など、壁紙やインテリアの色調に合わせて選ぶことができます。マットな質感のものや、ヘアライン仕上げのものなど、質感にもこだわると、より洗練された印象になります。
形状のデザイン
標準的な角型だけでなく、角が丸いもの、よりスリムで薄いデザイン、エッジの効いたミニマルなデザインなど、様々な形状があります。
存在感をなくす工夫
コンセントを目立たせたくない場合は、家具の裏や造作家具の内部、引き出しの中、床下収納の中などに設置することも可能です。
コンセント計画で後悔しないためのチェックポイント
最後に、コンセント計画を進める上で、後悔しないために押さえておきたいチェックポイントをまとめました。
事前の綿密な計画とシミュレーション
コンセント計画を成功させるには、事前に綿密な計画とシミュレーションが必要です。どこで何をどのように使うのかを具体的に洗い出してリスト化し、生活動線や家具の配置を具体的にイメージし、必要なコンセントの数と最適な位置を図面に落とし込んでいくことが重要です。
「なんとなく」での配置は避ける
根拠のない「なんとなく」の配置決めは後悔の元になるため、必ずシミュレーションに基づいて必要な場所に、必要な数だけ、計画的にコンセントを配置しましょう。住み始めてから足りない、使いにくいとなっても修正は簡単ではありません。
迷ったら多めに設置する
設置場所に迷う場合は、基本的に多めにコンセントを設置することをおすすめします。後からコンセントを増設するには手間も費用もかかりますし、電気容量によっては分電盤の交換が必要になってしまいます。少し多めに付けておけば将来のライフスタイルの変化にも柔軟に対応でき、後悔を防ぐことができるでしょう。
コンセントの高さも重要
コンセントの高さは使い勝手を大きく左右します。使用する家電や家具、使う人に合わせて最適な高さを検討しましょう。一般的な高さは床から25〜30cm程度ですが、掃除機用には40cm程度、デスク周りには90〜100cm程度が便利です。
高齢者がいる場合は屈む動作を軽減するために、床から50cm程度にすると使いやすいでしょう。また、小さなお子様がいる場合は安全のため高めに設置したり、カバー付きコンセントを採用するなどの工夫も有効です。
設計事務所のプロの視点を活用する
ここまでコンセント計画のポイントを解説してきましたが、ご自身だけで全てを完璧に計画するのは難しいかもしれません。そんな時こそ、私たち設計事務所の出番です。
設計事務所の建築家は豊富な経験から、施主様だけでは気付きにくいプロの視点でコンセント配置を提案します。生活動線とデザインの両立、将来を見据えた配線計画、最適な製品選定、照明計画やスイッチ配置との連携など、電気設備全体として最適なプランニングを提案します。
まとめ
注文住宅におけるコンセント計画は、日々の暮らしの快適さや家事効率、安全性に直結する非常に重要な要素です。後から「こうすればよかった」と後悔しないためには、設計段階での綿密な計画が欠かせません。
より快適で、デザイン性も高く、将来にわたって満足できる住まいを実現するためには、経験豊富な設計事務所のプロの視点を取り入れることを強くおすすめします。
penthouse studioでは、お客様との対話を大切にし、機能性とデザイン性を両立させた、オーダーメイドの住まいづくりをお手伝いしています。コンセント計画はもちろん、家づくりに関するあらゆるご相談を承っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。