
設計事務所が徹底解説!外壁材の種類と選び方2025.07.25
目次
- 多くの種類の中から外壁はどれを選べばいい?
- 外壁によって初期費用はどれくらい変わる?
- 外壁の将来のメンテナンス費用は?
住宅の外観を決める上で、外壁材選びは非常に重要です。デザイン性はもちろん、耐久性やメンテナンス性、そして将来的なコストにも大きく関わってきます。
この記事では、注文住宅で選べる主な外壁材の種類とそれぞれの特徴とメリット・デメリット、価格相場について詳しく解説します。
ハウスメーカーの規格住宅では満足できず自分たちの感性とライフスタイルに合ったオリジナルの家づくりを目指す方にとって、最適な外壁材選びのヒントが見つかるはずです。
この記事でわかること
- 各外壁材の種類と特徴、メリット・デメリット
- 外壁材を選ぶ際の注意点
- 外壁材の種類による将来メンテナンスコストの違い
注文住宅で選べる主な外壁材
まずは、注文住宅でよく採用される代表的な外壁材について、それぞれの特徴、メリット・デメリット、価格相場を見ていきましょう。
窯業系サイディング
【特徴】
価格相場:約3,500~6,000円/㎡
窯業系サイディングはセメントと繊維質を主な原料として作られており、非常に豊富なデザインとカラーバリエーションが特徴です。初期費用を抑えつつ、デザイン性も重視したい方にとって最適な選択肢と言えるでしょう。
新築住宅において最も多く採用されている外壁材のひとつで、多様な住宅スタイルに合わせやすくコストパフォーマンスにも優れているため、幅広い層に人気があります。
【メリット】
窯業系サイディングの最大の魅力は、デザインの豊富さにあります。
レンガ調、タイル調、木目調など、様々なテクスチャやカラーが用意されており、和風、洋風、モダンなど、どのような住宅スタイルにも合わせやすいのが特徴です。
他の外壁材と比較して比較的安価に入手できるため、初期費用を抑えたい方にとって魅力的な選択肢となります。
また、窯業系サイディングの中には防火性能を持つ製品も多く、防火地域や準防火地域といった建築規制が厳しい地域でも採用しやすいというメリットがあります。
デザイン性、コストパフォーマンス、防火性のバランスが良い外壁材と言えるでしょう。
【デメリット】
窯業系サイディングの美観と防水性を維持するためには定期的なメンテナンスが欠かせません。具体的には、シーリング材の劣化による隙間を埋める打ち替えや、表面の塗膜を保護するための再塗装が、およそ7年から15年程度の間隔で必要となります。
これらのメンテナンスを怠ると、雨水が内部に浸入し、建物の構造を損なう可能性もあるため、定期的な点検と適切なメンテナンス計画を立てることが重要です。
また、寒冷地においては凍害によりひび割れや剥がれが発生するリスクがあるため、注意が必要です。
【こんな人におすすめ】
金属系サイディング
【特徴】
価格相場:約3,500~9,000円/㎡
金属系サイディングは、ガルバリウム鋼板やアルミニウムなどの金属板を使用した外壁材で、軽量で建物への負担が少ないことが特徴です。既存外壁の上からも張れるためリフォームにも人気です。
【メリット】
金属系サイディングは耐久性が高く、窯業系サイディングの弱点であるひび割れや凍害の心配が少ないことがメリットです。断熱材と一体になった製品が多く、建物の省エネ効果も期待できます。
以前はシンプルなものが多かったのですが、最近では木目調や石目調など、多様な質感や色合いを持つ商品が登場し、住宅の外観を個性的に演出できるようになりました。
【デメリット】
金属系サイディングは窯業系サイディングに比べて初期費用がやや高い傾向があります。
しかし、塗装が必要なメンテナンスサイクルは比較的長く、トータルで見れば出費を抑えられる可能性があります。
金属であるため衝撃でへこみやすいこともデメリットと言えるでしょう。また、沿岸地域では塩害により錆びやすいため、避けた方が無難です。
【こんな人におすすめ】
タイル
【特徴】
価格相場::8,000~20,000円/㎡
タイルは粘土や陶土を高温で焼き上げた外壁材で、高級感のある美しい外観が特徴です。耐久性、耐候性、メンテナンス性に非常に優れています。
住宅の外壁ではモルタル下地やセメントボードにタイルを接着剤で貼り付ける「湿式工法」と、凹凸のある窯業系サイディングの基材に引っ掛けて固定する「乾式工法」に分かれます。
【メリット】
タイルは耐久性が非常に高く、耐用年数は半永久的と言われています。メンテナンスの手間がほとんどかからず、色褪せや変色が少ないため美しい外観を長く保てるでしょう。また、防火性・防水性にも非常に優れています。
【デメリット】
タイルは他の外壁材に比べて初期費用が高く、重量があるため建物への負担が大きくなる可能性があります。また、上塗りや張り替えが容易ではないため、将来的に外観デザインを変更することが難しいというデメリットがあります。
【こんな人におすすめ】
塗り壁
【特徴】
価格相場::約8,000~16,000円/㎡
塗り壁は、窯業系サイディングやモルタル、セメントボードなどの基材に樹脂系壁材を左官職人が手作業で塗る外壁で、デザインの自由度が高く独特の質感が特徴です。
和風・洋風問わず様々な住宅スタイルに対応できます。
【メリット】
塗り壁はデザインの自由度が高く、オリジナリティ溢れる外観や重厚感・高級感のある仕上がりまで幅広く対応できることが特徴です。曲面も形成できるため、特徴的なデザイン住宅にも最適です。
【デメリット】
塗り壁は、経年劣化や乾燥収縮、地震などによる原因でひび割れが発生しやすいのがデメリットです。また、職人の技術によって仕上がりの品質にばらつきが出やすいため、実績があり信頼できる業者に依頼する必要があります。
また、表面の仕上げによっては汚れやすく、定期的な洗浄が必要になることもあります。
【こんな人におすすめ】
木質系サイディング
【特徴】
価格相場:約6,000~12,000円/㎡
木質系サイディングはスギやヒノキなどの天然木を加工して作られた外壁材で、他の外壁材にはない、自然素材ならではの温かみのある独特の風合いが大きな魅力です。
【メリット】
木材特有の美しい木目や色合いは住宅に自然な美しさと安らぎを与えます。玄関回りなど一部の外壁にデザインのアクセントとしても使用するのにも最適です。
また、時が経つにつれて木材の色や質感が変化していく過程も楽しむことができ、年月とともに味わい深くなる外観を楽しむことができます。自然素材ならではの経年変化は、他の外壁材では味わえない魅力と言えるでしょう。
【デメリット】
木質系サイディングは天然木を使用しているため、他の外壁材に比べて耐候性や耐久性が劣ります。
また、水に弱く腐食しやすいため、定期的な塗装メンテナンスを怠るとシロアリなどの害虫被害を受けやすくなってしまいます。また、防火性能が低いため防火地域や準防火地域などでは使用が制限されるといったデメリットもあります。
【こんな人におすすめ】
ALC(軽量気泡コンクリート)
【特徴】
価格相場:約7,000~15,000円/㎡
ALCは軽量の気泡コンクリートで、高い断熱性、耐火性、遮音性を持つ高性能な外壁材です。
【メリット】
ALCは優れた耐火性能で火災から建物を守るだけでなく、発泡素材ならではの高い断熱性があり、建物の冷暖房効率を高め省エネ効果も期待できます。
また、高い遮音性で都市部であっても静かで快適な室内環境を実現します。
【デメリット】
ALCは吸水性が高いため定期的な塗装による防水メンテナンスが必須です。
初期費用が比較的高いうえに、デザインの選択肢は他の外壁材に比べて低いのがデメリットと言えます。
【こんな人におすすめ】
樹脂系サイディング
【特徴】
価格相場:約8,000~10,000円/㎡
樹脂系サイディングは塩化ビニル樹脂などを主原料とした外壁材で、軽量で塩害や凍害に強く、メンテナンス性に優れています。
【メリット】
樹脂系サイディングは耐久性が高く、メンテナンスの手間が少ないことがメリットです。塩害や凍害に強いため、厳しい寒冷地や海岸沿いの地域にも適しています。
また、軽量で建物への負担が少ないため、金属サイディング同様リフォームの上張りにも最適です。
【デメリット】
樹脂系サイディングを取り扱うメーカーが少ないため、デザインの選択肢が限られるのがデメリットです。また、日当たりの良い場所では熱膨張で収縮するため施工に配慮が必要で、対応できる業者が限られます。
【こんな人におすすめ】
知っておきたい!外壁材選びで後悔しないためのポイント
外壁材は、住宅の見た目を決めるだけでなく、住み心地や建物の寿命にも大きく関わる重要な要素です。
しかし、多くの選択肢がある中で、適切な外壁材を選ぶのは簡単ではありません。ここでは、外壁材選びでよくある後悔のケースとその対策を見ていきましょう。
外壁の選択で後悔するケース
注文住宅の外壁材選びの後悔として良く聞かれるのが、下記のような声です。
外壁材を選ぶ際の注意点
外壁材を選ぶ際には、初期費用だけでなく、将来的にかかるメンテナンス費用も考慮することが重要です。メンテナンスの頻度や方法、費用などを事前に把握し、ご自身の生活スタイルや将来のライフプランに合った外壁材を選びましょう。
また、住宅全体のデザインや周辺環境との調和も考慮し、専門家である設計士の意見も参考にしながら、好みのデザインを選ぶことが大切です。特に市街地密集地では、防火性能や耐震性など、安全性の高い外壁材を選ぶ必要があります。
さらに、寒冷地、多湿地域、海岸地域など、地域の気候条件に適した外壁材を選ぶことも重要です。これらの点を総合的に考慮し、後悔のない外壁材選びをしましょう。
外壁のメンテナンスと将来コスト
ここでは、外壁のメンテナンスの重要性と、各外壁材ごとのメンテナンスサイクルと費用目安について見ていきましょう。
メンテナンスの重要性
外壁の性能を維持し建物を長持ちさせるためには適切なメンテナンスが不可欠です。
メンテナンスを怠ると美観が損なわれるだけでなく、防水性能の低下や建物の構造への悪影響につながります。計画的なメンテナンス計画を立てることによって、外壁材の寿命を延ばし、将来的な補修費用を抑えることにつながります。
各外壁材のメンテナンスサイクルと費用目安
外壁材の種類 | メンテナンスサイクル | 費用目安 (30坪程度の場合) |
備考 |
窯業系サイディング | 再塗装:7~15年 シーリング打ち替え:10~15年 |
再塗装:100万円前後~ シーリング打ち替え:20~40万円程度~ |
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金属系サイディング | 再塗装:10~20年 | 再塗装:120万円前後~ | 錆止め塗装を検討 |
タイル | 基本的に不要 | 目地補修:程度による | 湿式工法の場合は目地の点検・補修が必要 |
塗り壁 | 再塗装:5~15年 ひび割れ:発見次第、早期補修 |
再塗装:150万円前後~ ひび割れ補修:程度による |
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木質系サイディング | 再塗装:2~5年程度 | 再塗装:120万円前後~ | 防腐・防虫対策も重要 |
ALC | 再塗装:7~15年 シーリング打ち替え:10~15年 |
再塗装:100万円前後~ シーリング打ち替え:30~60万円程度~ |
シーリング:ジョイント部の点検・補修が重要 |
樹脂系サイディング | 色あせが目立つ場合は美観回復目的で塗装 | 再塗装:100万円前後~ |
※実際の費用は、住宅の形状や大きさ、劣化状況、選択する材料や工法によって大きく異なります。
まとめ
今回は、注文住宅で使われる代表的な外壁材について解説しました。
それぞれにメリット・デメリットがあり、価格やメンテナンス性も異なります。大切なのは、デザインの好みだけでなく、建築地の環境や将来的なメンテナンス費用の想定などを総合的に考慮し、長期的な視点で最適な外壁材を選ぶことです。
設計事務所と建てる完全自由設計の家づくりでは、外壁材の選択肢も広がります。「どの外壁材が自分たちの理想の暮らしに合っているか?」「メンテナンスの手間をできるだけ減らしたい」「安全性や省エネ性も重視したい」など、具体的なご要望や疑問点がありましたら、ぜひ私たちpenthouse studio一級建築士事務所にご相談ください。
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また、首都圏の狭小エリアを中心に、戸建注文住宅の設計を400件以上担当した実績もございます。
施主様を決して後悔させないよう、複数の選択肢を示しながら家づくりのプロセスを慎重に歩みます。
施工事例も更新中ですのでぜひご覧ください。